
コンパクト筐体に詰め込まれた多機能
いやぁ、とうとう出たか…って感じ。見た瞬間、思わず「やばいなこれ」って声が出た。BOSSのコンパクト筐体にアンプシミュレーター&キャビネットIRローダーを詰め込んだ「IR-2」。新品価格はだいたい2万4千円前後。見た目はいつものBOSSコンなんだけど、中身がとんでもない。
もともとBOSSにはIR-200っていう上位モデルがあったけど、サイズは大きめだった。IR-2はそれをグッと小さくして、ペダルボードにもすっぽり収まるコンパクトサイズ。これがどれだけありがたいことか…って、ボードを組んでる人ならわかると思う。ペダルボードのスペースって限られてるから、ひとつ追加するだけでも悩む。そこにこのIR-2が入る余地があるってだけでも、ちょっと嬉しくなった。
本体の質感も安っぽさがなくて、さすがBOSSって思わせる作り。パッと見は地味なんだけど、裏側を見るとUSB-C端子やSEND/RETURN、ヘッドフォン端子まで詰め込まれてて「おお…」ってなる。ここまで小さくしながら、必要なものは全部詰め込んだ感じ。ほんと、技術の進化ってすごい。
アンプモデルと音の印象

搭載されているアンプモデルは全部で11種類。クリーン系からハイゲイン、ソルダーノやモディファイド系まで幅広く網羅されてる。しかもキャビネットIRが最初から用意されてて、各アンプにマッチしたセレッション製のIRがセットになってるっていうのも嬉しいポイント。
試しにクリーン系から弾いてみた。うん、BOSSのクリーンって感じ。ちょっと無難すぎるというか、可もなく不可もなく。でも「ツインリバーブ」モデルを選ぶと一気に“箱鳴り感”が出てきて、これが結構気持ちいい。正直、クリーン狙いならこのツインリバーブでいいんじゃないかなって思った。
「ベースマン」も試したけど、これも甘めのドライブ感があって心地よい。特にフロントピックアップで弾くと、柔らかいニュアンスが強調されて気持ちいい音がする。コードをポロポロ鳴らすだけでも楽しい感じ。なんだかリラックスして弾きたくなる音だった。
「VOX AC30」モデルは…あぁ、これも好きだな。軽く歪ませた状態が一番美味しい感じ。あの“箱鳴り”と独特のコンプレッション感がちゃんと再現されてる。個人的にはゲイン12時前後が一番“VOXっぽさ”が出る気がする。ストラトでカッティングすると気持ち良くて、思わず弾き続けたくなる。
一方、BOSSオリジナルの「クランチ」「ハイゲイン」系は…ちょっとこもりが強い印象。EQを頑張って調整すれば活きる場面もあるけど、そのままだと正直ちょっと物足りない。でも「ブラウン」「モティット」は別格。特に「ブラウン」は改造マーシャルっぽいガッツある音で、歪ませても音が潰れず抜けてくる。これはめちゃくちゃ好き。テンション上がった。リフもソロも気持ち良く弾ける、まさにロックギタリストのためのサウンドって感じ。
「モティット」はメタル寄りのサウンドで、低音も暴れすぎずにしっかりまとまってくれる。ガチガチのモダンメタルっていうよりは、もう少しミドルに寄ったバランスのいいハイゲイン。速いパッセージを弾いても音の輪郭が潰れず、弾いてて安心感がある。これもかなり好きな音だった。
操作性と機能性のバランス

操作性についても触れておきたい。シンプルでわかりやすい。ノブを回せばそのまま音が変わる。緑モードと赤モードの2チャンネルを切り替えて、それぞれ別の設定を記憶してくれるのが便利。ライブでも即戦力になりそう。エディターソフトを使えばリバーブタイプやルーティングも調整できるけど、基本的には本体だけでも充分扱える。
USB-CでPCに接続できるし、専用ソフトから自分のIRを読み込むこともできる。SEND/RETURN端子やステレオアウトも搭載。さらに電池駆動も可能。ここまで詰め込んで、このサイズ。この仕様をこの値段で出してくるBOSS、さすがとしか言いようがない。
もちろん、いくつか気になる点もあった。内蔵ノイズゲートが常に軽くかかってるみたいで、繊細なプレイをするときにちょっと反応が気になることがある。でも普段使いでは逆に無音が保たれて助かる場面も多い。ここは好みが分かれそう。あと、設定を記憶してくれるとはいえノブの位置が実際の設定値とずれてることもあって、初めて触るときはちょっと戸惑うかもしれない。でも慣れれば問題なし。
SEND/RETURNがあるおかげで、空間系を後段に入れたボードがそのまま作れるのも魅力。試しにディレイとリバーブを繋いでみたけど、ちゃんとステレオで広がってくれてライブでもかなり映える音が作れた。小さいけど「足りない」と感じる部分が本当に少ない。
Q&A

Q. BOSS IR-2の一番の魅力って?
A. やっぱりこのコンパクトサイズにアンプシミュレーターとIRローダーを詰め込んだところ。ペダルボードにすっぽり収まるのに、必要な機能が全部入ってるのがすごい。USB-CやSEND/RETURNまであるのには驚いた。
Q. クリーン系の音はどんな感じ?
A. BOSSのクリーンは無難な印象。でも「ツインリバーブ」モデルを選ぶと箱鳴り感が加わって、グッと心地よい音になる。クリーン狙いならこれが一番オススメかなって思った。
Q. 個人的に一番気に入ったアンプモデルは?
A. 「ブラウン」かな。改造マーシャルっぽいガッツある音で、歪ませても潰れない抜け感があってリフもソロも気持ちよく弾ける。テンションが上がる音だった。あと「モティット」も良かった。メタル寄りだけど暴れすぎない低音で、輪郭も保たれて弾きやすい。
Q. 操作性はどう?
A. シンプルで直感的。緑モードと赤モードを切り替えて、それぞれ別の設定を記憶してくれるのが便利。ライブでも即戦力になりそう。ノブを回せばすぐ反応するし、面倒な操作が少ないのが嬉しい。
Q. 気になる点は?
A. 内蔵ノイズゲートが常に軽くかかっている感じがして、繊細なプレイをするときに気になることがあるかも。でも普段使いでは無音が保たれて助かる場面も多い。あとノブの位置と設定値がズレてる場合があるので、最初はちょっと戸惑うかもしれないけど、慣れれば問題なし。
Q. どんな人におすすめ?
A. ライブ、リハ、レコーディング、どこでも同じ音を持ち運びたい人。シンプルな操作でいい音が欲しい人。あとバックアップ用のアンプとして1台持っておきたい人にもピッタリだと思う。
Q. IR-200とどっちがいい?
A. 目的によると思う。IR-200は画面付きで細かい調整ができるし、音作りの幅も広いけど、そのぶん大きくて操作も複雑になる。IR-2はとにかくシンプルでコンパクト。ボードに収めたい人や操作性重視の人にはIR-2、より多機能で細かい設定を求めるならIR-200が向いてる。
まとめ
BOSS IR-2は、コンパクトな筐体に多くの機能を詰め込んだ、まさに現代のギタリストに向けたペダルだった。11種類のアンプモデル、各モデルにマッチしたIR、シンプルな操作性、そしてSEND/RETURNやUSB-C対応、ヘッドフォン端子まで搭載。これだけの機能をこのサイズで、しかも新品2万4千円前後という価格で提供するBOSSの底力を感じた。
実際に音を出してみると、「ブラウン」や「モティット」といったハイゲイン系は特に好印象。クリーン系も「ツインリバーブ」や「ベースマン」は箱鳴り感が心地よく、ライブやリハーサルで十分に使えるクオリティ。もちろん気になる点もゼロではないけど、それを補って余りある実用性と携帯性がある。
IR-200と比べると、細かな設定や画面での操作はIR-200に軍配が上がるけど、「シンプルで直感的に使える」という点ではIR-2の方が扱いやすいと感じた。細かい設定にこだわる人には物足りないかもしれないけど、ライブやリハ、宅録で「とにかくすぐに良い音が欲しい」という人にはぴったりの一台だ。
どこにでも持ち運べて、必要最低限以上の機能を備えたBOSS IR-2。ペダルボードに追加しても邪魔にならないこのサイズ感と、直感的な操作性。そして、ギタリストとして「自分の音」を手軽に持ち歩ける安心感。これ一台あるだけで、いろんなシーンで頼れる相棒になる。そう感じさせてくれるペダルだった。
弾きながら「ここまできたか…」と、思わずつぶやいてしまった。


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