Suhr Riotとは?ブランド背景と製品概要
Suhr(サー)は、アメリカ・カリフォルニアに拠点を置く高級ギターブランドで、ギター本体からアンプ、エフェクターに至るまで非常に高い品質で知られています。特にプロユースを強く意識した設計と仕上がりで、世界中のトッププレイヤーから信頼を得ています。
そのSuhrが開発したディストーションペダルが「Riot(ライオット)」。マーシャル系アンプのような太くハリのあるハイゲインサウンドを狙ったペダルで、発売当初から「完成度の高いアンプライク・ディストーション」として注目を浴びました。
筐体は金属製で非常に頑丈。スイッチの踏み心地も重厚感があり、操作性と耐久性の両面でプロユースに応える仕様です。ディストーション、レベル、トーンの3つのノブに加え、3段階のボイシングスイッチ、さらには外部スイッチ連動用のミニジャックを備えるなど、実用性も抜群です。

サウンドの特徴とボイシングの違い
Riotのサウンドキャラクターは「ミッドが前に出た太い歪み」。音の芯が非常に強く、ローミッドがしっかりとしたドライブサウンドを作り出します。その一方で、極端なローやハイは控えめに設計されており、全体として“整った歪み”という印象です。
特筆すべきは3段階のボイススイッチ。
・中央ポジション:もっとも太く、ウォームな音。密度があり、コードプレイでも音が埋もれにくい。
・左ポジション(コンプ系):ややファットでコンプレッション感があり、リードやサステイン重視のプレイに向いている。
・右ポジション(シャープ系):ややローが削れ、ハイ寄りでタイトなキャラクター。ピッキングニュアンスが際立ち、現代的な音作りに最適。
セッティング次第ではオーバードライブのような使い方もでき、トーンノブの効きも非常に広範囲。ローゲインでも芯がしっかり残り、ハイゲインでも破綻しないバランスの良さが魅力です。

使用感とコントロールの操作性
実際に弾いて感じたのは、非常にスムーズな歪みの立ち上がりと、ピッキングへの素直なレスポンス。GAINをゼロに絞っても音が出るため、クリーンブースター的にも使用可能。そこからじわじわと歪ませていく過程もスムーズで、「ちょうどいいポイント」が見つけやすい印象です。
また、Riotは9V〜18Vの電源に対応しており、18Vで駆動したときのサウンドは格別。音圧がグッと増し、より立体的でダイナミックなサウンドに変化します。特にバンドアンサンブル内での抜け感や、ソロの存在感が強くなる点は見逃せません。
さらに、裏面に装備された3.5mmジャックは、外部スイッチャーからのON/OFFコントロールに対応しており、複雑なペダルボードに組み込む際にも便利。しかも外部制御時でも本体のスイッチは有効なため、手動と自動の併用が可能です。
市場価格とコストパフォーマンス
Suhr Riotの市場価格は約3万円台後半。コンパクトエフェクターとしては決して安くはありませんが、その完成度の高さと機能性、耐久性を考えれば「高すぎる」と感じることはないでしょう。
また、Riotは非常に多くのプロ・ミュージシャンに使用されており、スタジオミュージシャンや現場エンジニアからも「ノイズが少なく扱いやすい」「スイートスポットが広い」と高評価を得ています。
中古市場では2万円台で取引されており、人気もあり高値で安定していることから、リセールバリューの面でも安心です。

実際に使って感じたメリット・デメリット
Riot最大の魅力は「完成度の高さ」に尽きます。踏んだ瞬間から“完成されたディストーションサウンド”が出るため、セッティングに悩まず、音作りのスタート地点がすでに高いレベルにあります。
特に音の芯がしっかりと残る点、歪ませてもノイズが少ない点、トーンの効きが素直かつ広範囲な点、どれを取っても“使いやすさ”の塊です。ローゲイン〜ハイゲインまで幅広く対応しながらも、どのセッティングでも破綻せず、安定した出音を保つ点も高評価。さらに、外部スイッチ対応や18V駆動への柔軟性といった機能面でもプロ仕様。実際にライブボードに組み込んで使う場合でも、安心して使い倒せる信頼性があります。
その一方で、「完成されすぎていて遊びが少ない」という声も。エフェクターに“クセ”や“暴れ”を求めるタイプのプレイヤーには、物足りなく感じることもあるかもしれません。
また、どんな状況でも破綻せずに整った音が出る一方で、“想定外のひらめき”や“偶然の音作り”が起こりにくいという側面もあります。とはいえ、Riotが狙っているのは「誰が踏んでも安定して使える実戦的なディストーション」であり、その点ではまさに100点満点といえるペダルです。
Q&A

Q1. Suhr Riotは電池駆動できますか?
A. いいえ、Suhr RiotはDC電源(9〜18V)専用で、電池駆動には対応していません。ペダルボードでの運用を前提とした設計です。
Q2. 18V駆動にするメリットは?
A. 音のダイナミクスが広がり、より音圧が増し、サウンドにハリが出ます。特にバンドアンサンブルでの抜けや、ソロ時の存在感に違いを感じられるでしょう。低域のタイトさや立体感も向上します。
Q3. 外部スイッチ(3.5mm端子)って何に使うの?
A. 3.5mmのステレオミニジャックは、外部スイッチャーやMIDIコントローラーと接続し、ペダルをON/OFF制御するための端子です。Suhr独自のFX Linkシステムで、複雑なボードでも自動制御が可能です。
Q4. Riot Reloadedとの違いは?
A.Riot Reloaded:ゲイン量が増し、より現代的・ハイゲイン寄りのチューニング。原音の太さとアグレッシブさを求めるならReloadedがおすすめです。
Q5. 「Riot Mini」ではなくオリジナルを選ぶべき理由は?
A. Miniはコンパクトで扱いやすい反面、ボイススイッチが非搭載かつ、音の太さ・レンジ感がオリジナルよりやや控えめです。音作りの自由度やライブ用途での信頼性を重視するなら、オリジナルRiotの方が断然おすすめです。
まとめ|迷ったらこれ。高品質ディストーションの決定版
Suhr Riotは、ただのディストーションペダルにとどまらない、アンプライクな高品位ドライブサウンドを実現する、完成度の非常に高いエフェクターです。ミッドがしっかり前に出る音作りと、ピッキングニュアンスにしっかり反応する高い解像度。そして何より、“踏めば即戦力”になる即応性と安定感が大きな魅力です。
3段階のボイシングスイッチにより音のキャラクターを柔軟に切り替えることができ、9V~18V駆動対応、外部スイッチによる制御も可能と、機能面もプロ仕様。マーシャル系アンプのような音圧とパンチをコンパクトペダルで再現したい人には、間違いなく“買って後悔しない1台”です。
一方で「クセがない=遊びが少ない」と感じるプレイヤーもいるかもしれませんが、それは“すでに音作りが完成されている”からこそ。荒削りな個性よりも、ステージやレコーディングなど実戦的な現場で通用する安定感を重視する方には、最適な選択肢と言えるでしょう。
ディストーションペダル選びで悩んでいる方、あるいは「長く信頼して使える1台が欲しい」と思っている方は、ぜひこのSuhr Riotを一度試してみてください。ギターを手にする時間が、きっとより“気持ちの良いもの”になります。
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