
オーバードライブペダルの世界には、星の数ほどの選択肢がある。「この1台」と思っても、結局別のペダルに目移りしてしまうのが常だ。でも、その中でも「戻ってきてしまう」不思議な存在がある。XOTIC BB Preampは、まさにそんな存在だ。どんなに新しい機材を試しても、「やっぱりBBだよな」と思わせてくれる懐の深さと信頼感がある。
派手な機能はない。でも、音作りの“土台”としてこれほど頼れるペダルはなかなかない。ブースター、単体の歪み、セカンドゲイン、そしてEQ的な調整役まで、BB Preampは様々な顔を見せてくれる。しかもどれもそつがなく、自然にギタリストの表現を引き立てる。今回の記事では、そんなBB Preampの魅力を改めて見直してみたい。
BB Preampの基本構成と価格感

出典:xotic
XOTIC BB Preampは、GAIN/VOLUME/BASS/TREBLEという4ノブ構成のシンプルなオーバードライブペダルだ。その見た目からも「クラシカルなODペダル」という印象を受けるが、その実力は侮れない。コントロールは直感的で、ノブの可変範囲も広く、繊細な調整が可能。
新品価格はおよそ25,000円前後。安くもなく、高すぎることもない絶妙な価格帯だ。初心者には少し躊躇するかもしれないが、長く使うことを前提にすれば、その価格には充分な価値があると感じる人も多いだろう。
筐体は小ぶりで軽く、エフェクターボードへの組み込みも簡単。デザインは無骨なようでいて、どこか愛嬌がある。ライブで使っても視認性が高く、スイッチの踏み心地も安心感がある。小さなボディに詰まった「プロ機材」の品格が感じられる。
※xoticをエキゾチックと初見で読める人ははたしているのだろうか…
BB Preampのサウンドキャラクターは
自然体でありながら芯があるBB Preampの最大の魅力は、その「自然体」でありながらもしっかりと芯のある音だ。クリーンブースター的な使い方でも、原音を壊さずに音に太さと温かみを加えてくれる。
そしてGAINを上げれば、クラシックなロックサウンドからモダンなリードまで幅広く対応してくれる。
あるプレイヤーが「10年以上ボードから外れなかったペダル」と語っていたのも納得できる。透明感がありつつ、ピッキングやフレーズのニュアンスもきちんと表現してくれる。歪み系ペダルでありがちな「潰れた音」ではなく、倍音を含んだ立体感のあるトーンが得られるのも魅力だ。
Andy Timmonsモデルにも採用されているように、プロにも評価されるほど音楽的な反応の良さがある。ギターやアンプのキャラクターを損なわず、それらの魅力を引き立ててくれる、まさに「共演者」と呼ぶにふさわしい一台だ。
BB Preampの用途別の使い方
ブースター、リード、クランチ……BB Preampはブースターとしても非常に優秀だ。EP BoosterやTube Screamerと併用して、リードトーンの土台を作るギタリストも多い。また、GAINをゼロにすれば、純粋なクリーンブースターとしても使えるし、9時〜10時あたりに設定すれば軽めのクランチ。12時以降では骨太なリードトーンが作れる。
その音はどのジャンルにも自然に溶け込む。ポップス、ブルース、カントリー、ロック、ワーシップなど、多様なスタイルで使用されており、そのたびに違った表情を見せてくれる。適度なコンプレッションと豊かな倍音のおかげで、バンドアンサンブルの中でも埋もれないのが嬉しい。
BASSとTREBLEの効きも素直で、EQ的な補正としても有用。低域を締めてスピード感を出したり、高域を持ち上げてキラッとさせたりと、微調整でかなりキャラクターが変化する。
BB Preamp バージョン違いや個体差について
BB Preampには複数のバージョンが存在し、それぞれ微妙に音のキャラクターが異なる。初期型はナチュラルで滑らかなトーンが特徴とされ、中期型はやや押し出し感が強い。そして現行品では、コンプレッションの効いた、より前に出るサウンドが得られるようになっているという。
派生モデルとしては、2チャンネル仕様のBB Plusや、Andy Timmonsシグネチャーがある。BB Plusはそれぞれのチャンネルを別々の用途に使える柔軟さがあるが、「シンプルな音の良さ」を求めるなら、やはりBB Preamp単体に戻ってくる、という声も少なくない。
さらに、年代によって細かなパーツの違いや個体差もある。中には「初期ロットの方が好き」という愛好家もおり、複数台を比較して音を選ぶファンも存在する。音にこだわる人ほど、奥深さを楽しめるペダルだ。
BB preamp がプロにも使われる理由とは
プロのギタリストたちの中でBB Preampが長年愛用されている理由は、その“音楽的な反応”の良さに尽きる。タッチへの追従性、ボリュームノブへの反応、そして原音を壊さずに厚みを加えるそのキャラクターは、ライブでもレコーディングでも安心して使える“信頼の相棒”だ。
特に、シングルコイルでもハムバッカーでも自然に馴染み、かつギターやアンプの個性を残したまま歪みが加えられる点が評価されている。また、フレーズの粒立ちやピッキングのニュアンスを損なわず、演奏そのものの説得力を底上げしてくれる。だからこそ、ジャンルを問わず多くの現場で活躍しているのだ。
Q&A

Q. BB Preampは初心者でも使えますか?
A. はい、使えます。操作はシンプルで、4つのノブ(GAIN/VOLUME/BASS/TREBLE)を使って直感的に音作りができます。EQの効きも素直なので、音作りの勉強にも最適です。
Q. トゥルーバイパスですか?
A. はい、トゥルーバイパス仕様になっており、ペダルをオフにした際には原音に一切の影響を与えません。クリーンな信号を重視する人にも安心の設計です。
Q. ブースターとしても使えますか?
A. 使えます。GAINを下げてVOLUMEを上げるだけで、自然なクリーンブーストが可能です。ブースター専用ペダルと比べても遜色ない評価を受けています。
Q. どんなジャンルに合いますか?
A. ポップス、ロック、ブルース、ワーシップ、カントリーなど、ほぼオールジャンルに対応できます。原音のキャラクターを活かしつつ自然な歪みを加えられるため、ジャンルを選ばないのが強みです。
Q. ハイゲインは出せますか?
A. ハイゲインには不向きです。中程度までの歪みが得意なペダルなので、メタルなどには別の機材が向いています。ただし、別のオーバードライブと組み合わせればそれなりの歪みも出せます。
Q. 現行品と初期型で音は違いますか?
A. 違います。初期型はややコンプ感が強くて滑らか、現行品は前に出るパワフルな印象です。いずれも基本的な設計は同じですが、細かなニュアンスに違いがあると感じているユーザーもいます。
Q. 電池駆動はできますか?
A. はい、9V電池での駆動が可能です。もちろんACアダプターにも対応しているので、ボードに組み込んでの使用にも便利です。
Q. トランスペアレント系ってなに?
A. トランスペアレント系とは、原音(ギターやアンプの音)をなるべく変えずに、自然に歪みやブーストを加えるタイプのエフェクターを指します。音色に強い“色付け”をせず、あくまで素材の持つ良さを引き立てるのが特徴です。
BB Preampもこの系統に属し、弾き手のタッチやニュアンスをそのまま活かしてくれるペダルです。歪みペダルの中には、音が潰れたり、個性が強すぎて原音をマスキングしてしまうものもありますが、BBはそうした“塗りつぶし感”がありません。まるでアンプのナチュラルなドライブを足元でコントロールしているような感覚を得られる、それが“トランスペアレント系”最大の魅力です。
Q. 現場でも使えるクオリティですか?
A. プロの使用例も多く、レコーディングやライブでも信頼して使えるクオリティがあります。特にタッチへの追従性や、アンプ・ギターとの相性の良さは高く評価されています。
BB Preamp 総評 飽きがこない、信頼のオーバードライブ
クセがないことが、最大の魅力BB Preampは、“クセがない”ことが最大の魅力だ。どんなギターにも、どんなアンプにも、どんなジャンルにもそっと寄り添ってくれる。その“素直さ”こそが、長く愛され続けている理由だろう。
歪みペダル選びに迷ったとき、「まずBBを踏んでみよう」と思える安心感。価格はやや高めかもしれないが、長く使える信頼性と、どんな場面にも対応できる柔軟性は、価格以上の価値を感じさせてくれる。まさに“ギタリストの相棒”と呼べる存在だ。
どんなに機材が増えても、気づけばボードに戻っている。そんな不思議な魅力を持つBB Preampは、これからも多くのギタリストの“定番”であり続けるに違いない。


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