中域が生きる新世代ファズ Mythos Pedals BigPuft Jr. レビュー

エフェクター

アメリカ・ナッシュビルのブティックブランド Mythos Pedals(ミソスペダルス) が送り出す「BigPuft Jr.」は、ファズ好きの間で話題の新モデルです。新品価格は約33,000円。見た目からしてビッグマフの限定版のようですが、実際はビッグマフではなく、まったく新しい方向性のファズペダル。その特徴はミドルを取り戻したファズ。従来のマフ系が抱えていた「ドンシャリすぎて埋もれる」問題を解消した、まさに新時代のマフ系ファズです。

ブランド背景とコンセプト

Mythos Pedals は、ヴィンテージエフェクターのエッセンスを現代に蘇らせるブティックブランド。過去にはGhostbustersをテーマにした限定モデル「Positron Collider」など、遊び心とサウンド設計の両立で人気を集めました。

今回の BigPuft Jr. は、その流れを受け継ぎつつも、より実用的でコンパクトな設計に進化。もともと100台限定でリリースされた「BigPuft」のDNAを受け継ぎ、サウンド面でも中域を重視したチューニングが施されています。単なるパロディではなく、ライブで使えるマフを目指した本格設計です。

BigPuft Jr.:デザインと操作系

外観はクラシックなマフ系を踏襲しつつも、ペダルボードに収まりやすい小型筐体を採用。トップマウントジャック仕様で、現代のボード環境に最適化されています。コントロールは Volume / Tone / Sustain の3ノブ構成で、直感的に扱いやすいレイアウト。内部はスルーホール基板で、丁寧なハンドワイヤリングが施されています。Mythosらしい堅牢なビルドクオリティです。

BigPuft Jr.:コントロールについて

出典:mythospedals

BigPuft Jr. の操作系は、クラシックなマフスタイルを踏襲しながらも現代的な調整幅を持たせた構成になっています。3つのノブが横一列に配置され、非常にシンプルかつ直感的です。

  • Volume(ボリューム):全体の出力レベルを調整するノブ。ペダルのキャラクターを保ちながらアンプを力強く押し出す音量コントロールが可能です。
  • Tone(トーン):中高域の抜けと低域の量感をバランスさせるノブ。左に回すとウォームでこもったクラシックなマフトーン、右に回すと明るく切れのある現代的なサウンドになります。
  • Sustain(サステイン):歪みの深さを決定するノブ。9時方向では軽いオーバードライブのような歪み、フルに回すとファズらしい圧縮感とロングサステインが得られます。

また、ノブの追従性が非常にスムーズで、微妙な調整にも反応。ギター側のボリューム操作とも連動して、プレイヤーのタッチにしっかり応える設計です。トップマウントジャックのおかげでペダルボード上の取り回しも良く、実践的な設計思想が感じられます。

BigPuft Jr.:サウンドの特徴

● ミドルが生きる“新世代マフ”

従来のビッグマフ系は低域と高域が強調される一方で、中域が削られがち。そのため、バンドアンサンブルの中でギターが埋もれてしまうことが多くありました。BigPuft Jr. はその弱点を見事に補い、ミッドが前に出てくるチューニングを採用。音抜けが良く、ソロでもコードでも輪郭が失われません。

● サステインとダイナミクスのバランス

ゲインレンジは広く、軽いブースト的な使い方から轟音ファズまで対応。音の太さはしっかり保ちながらも、モコモコせず抜けるサウンド。ボリュームを絞るとクリーン寄りのクランチトーンに変化し、ファズとは思えないほどのダイナミクスが得られます。

● トーンノブの効き方

トーンを絞るとウォームで厚みのある音、右に回すとワウペダルを半開きにしたような“鼻にかかった”独特の中高域が現れます。フランク・ザッパ的なサウンドメイクも可能で、表現力の幅は非常に広いです。

BigPuft Jr.:実際の使用感

出典:mythospedals

BigPuft Jr. の第一印象は「とにかく使いやすいファズ」。 単音リードでは艶やかで、コードを弾いても音が団子にならず分離が良い。ライブで鳴らしてもギターが前に出てくるのが最大の魅力です。トーンレンジが広く、ロックからブルース、オルタナ系まで幅広く対応。従来のマフが苦手だった“アンサンブルでの抜け”をしっかり改善しています。

良かった点と気になった点

BigPuft Jr.を実際に使ってみてまず感じたのは、その“中域の抜けの良さ”です。従来のマフ系では音が壁のように広がる一方で、バンドアンサンブルの中では埋もれがちでした。しかしこのペダルは、その欠点を見事に解消しています。ミドルが程よく前に出てくることで、ギターの存在感がぐっと増し、リードでもコードでも輪郭がしっかり残る印象です。またゲインレンジも広く、軽いオーバードライブ的な使い方から、重厚なファズトーンまで自在に調整可能。特にボリュームノブへの追従性が良く、ギター側の操作でクリーンから歪みまで滑らかに変化していくのが非常に自然です。さらに、トップマウント仕様でコンパクトな筐体はボードに組み込みやすく、ライブでも扱いやすい設計。サウンドも太く、モコモコせずに抜ける絶妙なEQバランスが感じられました。

一方で、ファズとしては価格がやや高めで、約33,000円という点は少し気になるところです。また、サステインを最大にした際にはノイズが目立つこともあり、音量のバランスを取るには多少の調整が必要です。さらに、クラシックなマフ系の“荒々しさ”や暴れ感を求める人にとっては、やや上品でまとまりすぎた印象を受けるかもしれません。とはいえ、これらの点を差し引いても、実用性と音質の高さを考えると、全体として非常に完成度の高いファズペダルだと感じました。

BigPuft Jr.:他機種との比較

製品名特徴価格帯コメント
Mythos BigPuft Jr.ミドル重視の新マフ系約33,000円太く抜ける現代型サウンド
Electro-Harmonix Big Muff Piマフ系の定番中の定番。分厚く滑らかな歪み約15,000円ローが強く、アンサンブルでは埋もれやすい傾向
MXR M75 Super Badass 70s Fuzzシリコン系の70年代クラシックファズ約20,000〜25,000円粒立ちがよく、扱いやすい万能タイプ
Z.Vex Fuzz Factory独特な発振系ファズ、創造的な音作りが可能約30,000〜35,000円キャラクター重視、個性派プレイヤー向け

BigPuft Jr. は、上述の定番ファズたちと比較しても「中域の抜け」と「実用性」のバランスが際立っています。Electro‑Harmonix の Electro‑Harmonix Big Muff Pi のような分厚いサウンドを持ちつつ、MXR や Z.Vex ほどクセが強すぎず、いわば クラシックとモダンの中間に位置するちょうど良いファズ。ライブでも録音でも主張しすぎず、埋もれず、現代的な完成度を誇るモデルです。

BigPuft Jr.:まとめ

出典:mythospedals

Mythos Pedals BigPuft Jr. は、従来のマフ系ファズの魅力を受け継ぎながらも、現代的なバンドサウンドにマッチするよう緻密に再構築された“新世代ファズ”です。中域の厚みや抜けの良さ、操作性、実用性のすべてが高い次元で調和しており、単なるヴィンテージリイシューではなく、実戦を意識した設計思想が感じられます。

特筆すべきは、ファズ特有の分厚いサウンドを保ちながらも、音が団子にならず輪郭を維持する点。リードトーンでは艶と伸びを持ち、コードプレイでも音が潰れません。特に中域の押し出しが自然で、ソロでもリズムでも存在感を発揮します。また、ノイズレベルの低さやペダルボードへの収まりの良さなど、細部の作り込みにもMythosらしいこだわりが光ります。

その一方で、荒削りで暴れるようなクラシックマフの“暴力的な魅力”を求めるプレイヤーにとってはやや上品に感じられるかもしれません。しかし、現代的な音楽環境で確実に機能するという意味では、このまとまり具合こそが魅力とも言えます。

ビッグマフが好きだけど、ライブでは埋もれて困っていた――そんな人にとって、BigPuft Jr. は理想的な解答となるでしょう。まさに“太く、抜ける、音楽的なファズ”です。

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