
EARTHQUAKER DEVICES のペダルって、見た目からしてかなり個性的で、楽器屋さんで見かけるとつい足を止めてしまいますよね。しかもデザインだけじゃなく音作りにも説得力があるから、多くのプレイヤーから支持されているブランドです。そんな EARTHQUAKER DEVICES が、LCD Soundsystem のサウンドを支えた“壊れかけのファズ”を現代に蘇らせたのが「Chelsea」。新品価格は36,000円前後と少し高めですが、その背景を知ると納得できる一台です。
EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:誕生の背景
このペダルは、LCD Soundsystem の James Murphy が長年愛用してきたファズをモデルにしています。1989年に「Chelsea」という楽器店で購入された個体は、壊れては直され、テープで補修されながら唯一無二のサウンドを生み続けてきました。EarthQuaker Devices はその個体のキャラクターを忠実に再現し、現代のライブやレコーディング環境でも安心して使えるようにアップデートしました。
筐体デザインについても、シンセの波形を思わせる様なデザインが秀逸です。
EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:コントロールと機能

見た目はシンプルですが、意外と奥深い音作りが可能です。
- Sustain:歪みとサスティンをコントロール。軽いオーバードライブから轟音ファズまで対応。
- Tone:高音を突き抜けさせたり低音を分厚くしたり、EQ幅が広い。
- Level:音量調整に加えて全体のキャラクターにも影響。
- Tone On/Off スイッチ:Tone 回路をバイパス可能。
- On:ローが豊かでミッドスクープ感のあるサウンド。
- Off:中域が強調され、荒々しいファズに変化。
EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:サウンドの特徴
Chelsea は特にベースで真価を発揮します。LCD Soundsystem のレコーディングやライブで使われてきた通り、分厚くて抜け感のあるトーンが特徴。ギターでも“壊れかけ感”の暴れ馬のようなキャラクターを楽しめ、シューゲイザーやドゥーム、サイケロックとの相性も抜群です。荒削りだけど絶妙なバランスを持つ、このペダルならではのサウンドです。
EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:使用してみた感想

よかった点
Tone スイッチをオフにしたときの中域の押し出しは、ガレージ的なローファイサウンドをすぐ作れるのが魅力。オンにすると低域がしっかり厚みを持ち、バンド全体の中でも存在感を発揮します。さらに Sustain を上げれば、壁を揺らすようなリードや重厚なベースラインも出せる。演奏中に“予想外”の表情を見せてくれるのも面白いポイントです。
気になった点
キャラが強めなため、曲やジャンルによっては合わないことも。音作りの幅が広い分、ライブで瞬時にベストを出すのは少し難しいと感じました。さらに、ジャック位置が背面にまとめられているため、多くのペダルのように側面接続に慣れている人は配線に工夫や長めのケーブルが必要です。既存のボードに組み込むときはレイアウトの見直しが必要かもしれません。

EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:価格と評価
新品価格は36,000円前後。ファズとしては高めですが、「伝説的な個体の復活」「ギター・ベース両対応の汎用性」「唯一無二のキャラクター」を考えれば納得の値段です。デザインも個性的で、所有欲を満たしてくれるでしょう。
EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:Q&A

Q:バイパス方式は?
A:トゥルーバイパス方式で、原音を損なわず扱えます。
Q:ギターとベースどちらに向いている?
A:両方に対応します。特にベースでの使用に定評がありますが、ギターでも個性的なローファイサウンドが楽しめます。
Q:Tone スイッチの使い分けは?
A:オンにすると低音が厚くフルボディに、オフにすると中域が強調されてストレートなファズサウンドになります。
Q:サイズ感はどうですか?
A:標準的なコンパクトペダルサイズで、ボードに収まりやすいですが、ジャックが背面配置なのでレイアウトには注意が必要です。
Q:電池は使えますか?
A:電池駆動には対応していません。9Vアダプターでの使用が推奨されています。
Q:ライブで使う際に注意点は?
A:音作りの幅が広いため、事前にしっかりセッティングを決めておくのがおすすめです。特にジャック位置の関係で配線が複雑になりやすいので、リハーサル時に確認しておくと安心です。
Q:ジャンル的にはどこにハマりやすい?
A:シューゲイザーやドゥーム、サイケロックとの相性が抜群です。荒々しさを活かせばガレージロックやオルタナティブにも使えます。
EARTHQUAKER DEVICES Chelsea:まとめ

EarthQuaker Devices Chelsea は、見た目のインパクトと背景にあるストーリー、そして何よりサウンドの個性で強い存在感を放つファズです。シンプルな 3 ノブとスイッチという構成ながらも、軽いドライブから重厚な轟音まで幅広く対応できる懐の深さがあります。Tone スイッチの切り替えによって中域を押し出したり、ローを分厚く響かせたりと表情を大きく変えることができ、使う場面によってキャラクターを自在に操れるのも魅力です。
一方で、背面にまとめられたジャック配置などボードに組み込む際に注意すべき点もありますし、キャラクターが強すぎて曲やジャンルを選ぶ場面もあるでしょう。それでも、このペダルにしかない荒々しさやローファイ感は大きな武器になります。特にシューゲイザーやサイケ、ドゥームなどのジャンルにはピッタリはまるはずです。
価格は 36,000 円前後と決して安くはありませんが、「壊れかけの名機を現代に蘇らせたファズ」という付加価値を考えれば納得できる設定です。個性的なファズを探している人、ベースでもギターでも唯一無二の存在感を求める人には、ぜひ一度試してほしい一台です。

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