新コンセプトの操作感!Blackstar ID:X FLOOR 肉厚なトーンと最新DSPの融合

エフェクター

ギターアンプの世界的ブランドであるBlackstar(ブラックスター)から、ついに本格的なフロア型DSPモデラーであるID:X FLOORシリーズがリリースされました。

これまで同社は、真空管の挙動をデジタルで精密に再現するTVP技術や、軽量ながら本格的な真空管サウンドを実現したSt. Jamesシリーズなど、常にギタリストの理想を形にしてきました。今回のID:X FLOORは、その集大成とも言える製品です。2026年の最新技術を惜しみなく投入しつつ、あえて画面の中の数値ではなく、指先の感触やノブを回す手応えにこだわった設計が、発売前から大きな話題を呼んでいます。

現在は予約注文の受付中ですが、日本国内での発売予定日は2026年1月24日となっています。3万円を切る価格帯から手に入るこの機材が、現代のマルチエフェクターの基準をどう塗り替えるのか。全3モデルの詳細から、その生々しいサウンドの正体までを徹底的にレビューしていきます。

ID:X FLOOR:用途に合わせて選べる3つのラインナップ

出典:jp.blackstaramps.com

ID:X FLOORシリーズは、同一の高性能DSPチップと音源エンジンを持ちながら、プレイヤーの演奏スタイルに合わせて3つのハードウェア構成から選択できます。

  • ID:X FLOOR ONE
    シリーズで最もコンパクトかつ軽量なモデルです。パッチの上下切り替えのみというシンプルな構成は、お気に入りの音色を数種類使い分けるスタイルや、デスクトップでの使用、また荷物を極限まで減らしたいギタリストに最適です。
  • ID:X FLOOR TWO
    ONEの機能に加え、エクスプレッションペダルを標準装備したバランスモデルです。ボリューム操作やワウ、あるいはディレイのフィードバック量を足元で制御するなど、ライブパフォーマンスに表現力を加えたいプレイヤーに最も選ばれる一台となるでしょう。
  • ID:X FLOOR THREE
    独立したエフェクトオンオフスイッチや、他のペダルとの連携を可能にするセンドリターン端子を備えたフラッグシップモデルです。パッチ切り替えだけでなく、演奏中に特定の歪みやモジュレーションを個別に足したいライブ派にとって、最強の司令塔になります。

どのモデルを選んでも、心臓部である音源アルゴリズムやDSPパワーには一切の差がないため、純粋に操作性と端子類だけで選べるのは非常にユーザーフレンドリーな設計と言えます。

ID:X FLOOR:操作性について

出典:jp.blackstaramps.com

マルチ特有のストレスを排除した物理インターフェース

多くのマルチエフェクターが抱える課題は、階層の深いメニュー操作による音作りの停滞でした。ID:X FLOORはこの問題を、実機アンプと同じ物理ノブを大胆に配置することで根本から解決しています。

本体パネルには、Gain、Volume、3バンドEQ、さらにはBlackstar独自のISFノブが独立して並んでいます。音作りの最中に、もう少しミドルを足したい、あるいはゲインを削りたいと感じたとき、液晶画面と格闘する必要はありません。ただ目の前のノブを回すだけで、アナログアンプと同様に即座に音が変化します。

この直感性は、デジタル機材に苦手意識を持つアンプ派のプレイヤーにとって、演奏に集中するための大きなメリットになります。物理ノブの状態がそのまま視覚的な情報となるため、暗いステージ上の足元でも現在のセッティングが一目で把握できるのは、実戦において非常に重要です。

ID:X FLOOR:最新DSPがもたらす速さと深み

驚くほどアンプライクな挙動を支えているのが、2026年世代の最新DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)です。これは膨大な計算を専門に行う超高速な脳回路のことです。

  • 低レイテンシー(低遅延)の実現:計算速度が圧倒的に速いため、弦を弾いてから音が出るまでのタイムラグが物理的に感知できないレベル(ほぼゼロ)です。この速さが、真空管アンプに直接繋いでいるような心地よい演奏感を生んでいます。
  • 高解像度なサウンドシミュレーション:最新チップは計算が非常に細かいため、真空管のサチュレーション感やスピーカーキャビネットが空気を揺らす質感を極めてリアルに再現します。
  • 余裕のある処理能力:複数の高負荷エフェクトを同時に使用しても、音色が痩せたり処理が重くなったりすることはありません。

性能の低い古いチップを積んだマルチでは、計算が追いつかず音がのっぺりとしたデジタル臭いものになりがちでしたが、ID:X FLOORはアナログ並みの反応速度と、デジタルの利便性を高い次元で両立させています。

ID:X FLOOR:基本的なスペック

出典:jp.blackstaramps.com


ID:X FLOORは、メニューを深く掘り下げる「デジタル機材のストレス」を徹底的に排除し、その場で音を作るというアンプ本来のコンセプトを具現化しています。ここでは、そのハードウェアとしてのこだわりを詳しく解説します。

物理コントロールと圧倒的な視認性

本機の最大の特徴は、本体上部に整然と並んだ物理ノブによる直感的なインターフェースです。Voice切り替え、Gain、Volume、EQ、ISF、Response(パワー管選択)という、アンプの核心を突くパラメーターがすべて独立したつまみとして配置されています。

これにより、演奏中に「少しだけ高域を削りたい」「歪みを少し足したい」といった瞬間的な微調整を、実機のアンプと同じ感覚で行うことができます。

さらに、中央に配置された高輝度OLEDディスプレイは、パッチ名だけでなく、エディット中のパラメーター値やチューナーを鮮明に表示します。視認性が非常に高く、暗いライブハウスのステージや、逆に明るすぎる野外フェスのような過酷な照明環境下でも、迷わず操作できる安心感を提供してくれます。

現場の要求に応えるプロフェッショナルな入出力

プロ仕様の現場を想定し、接続性の柔軟性にも妥協がありません。

センドリターン(FLOOR THREEのみ): 最上位モデルのTHREEには、独立したセンドリターン端子が備わっています。お気に入りの外部アナログペダルを信号経路の途中に組み込んだり、アンプとの「4ケーブルメソッド(4CM)」によって、アンプの歪みとID:Xのエフェクトを最適に共存させることが可能です。

ステレオXLRバランスアウト: 3万円を切る小型モデル(ONE)から、ステレオのXLRバランス出力を標準搭載しています。PAミキサーやオーディオインターフェースへ、ノイズを抑えた高品質な信号を直接送れるため、重いキャビネットを持ち歩かない「アンプレス運用」において最強の武器となります。

USB-C接続: 単なる充電用ではなく、2in/2outのUSBオーディオインターフェースとして機能します。PC用エディター「Architect」を使用すれば、パッチの管理やコミュニティでの共有、さらにはノイズゲートの微調整といった深いエディットまで視覚的に行えます。

ID:X FLOOR:プロユーザーが注目すべき比較ポイント

近年の高性能マルチにおいて、実際に現場で使用するプレイヤーが特にチェックすべきポイントを掘り下げます。

  1. ギャップレス・スイッチングと残響の維持(スピルオーバー)
    パッチ切り替え時の音切れは完全に排除されています。また、パッチを切り替えても前の音のディレイやリバーブの残響を自然に残すスピルオーバー機能が非常に優秀です。曲のセクションごとに音色を変える際も、不自然な空白が生まれません。
  2. IR(インパルス・レスポンス)の解像度と管理
    独自のCab Rig技術は、非常に高解像度なIRデータを使用しています。スピーカーの振動だけでなく、マイクの距離感や部屋の反射音まで緻密に計算されており、ライン出力時でも低域の解像度や空気感が損なわれることはありません。サードパーティ製IRの読み込みにも柔軟に対応しています。
  3. エフェクト・チェーンの自由度
    最新DSPの恩恵により、エフェクトブロックの配置順を自在に入れ替えることが可能です。例えば、モジュレーションを歪みの前に置くヴィンテージスタイルから、空間系を最後に並べる現代的なルーティングまで、制約なく音作りが楽しめます。
  4. ボードへの組み込みやすさと電源
    消費電流は9V DC 500mAです。高性能デジタル機材としては比較的扱いやすく、市販の高出力パワーサプライであれば、他のアナログペダルと混在させて一つのボードにまとめる運用も現実的です。

ID:X FLOOR:サウンドレビュー

BlackstarがID:X FLOORで目指したのは、単なるシミュレーターではなく「本物のアンプを弾いている感覚」そのものです。ここでは、その圧倒的なサウンドクオリティの核となる部分を詳しくレビューします。

アンプメーカーの意地が詰まった「Response」コントロール

この機材の最も評価すべき点は、パワー管の挙動を再現するResponse機能にあります。 多くのマルチではEQで音を変えるだけですが、本機はEL84、EL34、6L6といった真空管ごとの「コンプレッション感」や「サグ(電圧降下による音の粘り)」まで変化させます。 たとえばEL34を選択すれば、ブリティッシュアンプ特有の、中域がグッと前に出る粘り強いトーンに。6L6に切り替えれば、レンジが広くパンチのあるアメリカンな鳴りへと、弾き心地そのものが激変します。これは計算速度の速い最新DSPだからこそ実現できた、極めてリアルな演奏体験です。

12種類の厳選されたアンプモデル

内蔵されているのは、Blackstarオリジナルの最新モデルに加え、歴史的名機を再現したAmptonモデルを含む12種類です。 特に注目は、近年高い評価を得ている真空管アンプSt. Jamesのモデリングです。デジタル特有のチリチリとした高域のノイズが一切なく、手元のボリュームを絞った際の「クリーンへの戻り」が非常にスムーズ。この「ダイナミックレンジの広さ」こそが、安価なマルチとの決定的な違いであり、肉厚な質感の正体です。

特許技術「ISF」による無限のトーンシェイピング

Blackstarの代名詞である**ISF(Infinite Shape Feature)**は、音作りを飛躍的に効率化させます。 左に回せばタイトなアメリカン、右に回せば箱鳴りのあるブリティッシュへと、歪みの粒立ちを保ったままキャラクターを無段階で調整できます。複雑なパラメーターをいじらずとも、このノブ一つで「楽曲に馴染むポイント」を直感的に探り当てられるのは、ギタリストにとって最高の快感です。

空間を支配する「In The Room」テクノロジー

Cab Rig機能に搭載されたIn The Roomテクノロジーは、スピーカーから出た音が部屋の壁で反射する空気感まで再現します。 ヘッドフォンでの練習やPA直送のライブでも、耳元で鳴っているような閉塞感がなく、まるで目の前に大型キャビネットを置いているような立体的なサウンドを楽しめます。この奥行き感が、デジタル臭さを感じさせない大きな要因となっています。

ID:X FLOOR:評価できるポイントと惜しいポイント

評価できるポイント

  • 圧倒的なアンプライクな操作性:ノブを回せば音が変わるという、プレイヤーにとって最も自然なUIを実現。
  • 最新DSPによる弾き心地の追求:指先のレスポンスを高いレベルで再現し、デジタル特有の違和感を排除。
  • プロレベルの入出力:3万円台のモデルからXLRステレオアウトを備えるなど、現場主義の設計。

惜しいポイント

  • Bluetooth非搭載:スマホでのワイヤレス操作はできず、詳細な設定変更にはPCとのUSB接続が必要です。
  • 液晶ディスプレイのサイズ:物理操作が中心のため実用上の支障は少ないですが、複雑なパラメータの同時表示能力は大型液晶モデルに譲ります。

ID:X FLOOR:購入前に知っておきたいQ&A

Q. パッチを切り替えたときに音切れ(ギャップ)はありますか? A. 最新のDSPチップによる高速処理により、パッチ切り替え時の音切れはほぼゼロです。また、前のパッチの残響が残るスピルオーバー機能も搭載されているため、ライブでの使用も極めてスムーズです。

Q. ベースやアコースティックギターでも使えますか? A. はい、非常に効果的です。3種類のベースアンプモデルと、2種類のアコースティックギター用ボイス、さらにアコースティックシミュレーターを搭載しています。これ一台あれば、現場で楽器を持ち替えても最適なサウンドを提供できます。

Q. PCがないと音作りは難しいですか? A. いいえ、本体のノブだけで主要な音作りは完結します。ただし、Cab Rigのマイク位置をセンチ単位で調整したり、詳細なエフェクトパラメータを編集したりする場合は、無料のArchitectソフトウェアをPCで使うのが最も効率的です。

Q. ライブハウスのPAに直接繋いでも大丈夫ですか? A. むしろ推奨される使い方です。ステレオXLR出力を搭載しており、Cab Rig技術によってマイクで拾ったかのような空気感のあるサウンドをPAに送れます。アンプを持ち運ぶ必要がなくなるのは大きなメリットです。

Q. 他社のIR(インパルス・レスポンス)データは使えますか? A. 可能です。専用ソフトArchitectを経由して、標準的な.wav形式のIRデータを本体にインポートできます。自分のお気に入りのキャビネットサウンドをID:X FLOORで鳴らすことができます。

Q. 消費電力は大きいですか?ボードの電源で動きますか? A. 9V DC 500mAという仕様です。高性能なマルチとしては比較的低消費電力ですが、一般的なアナログペダルよりは多くの電流を必要とします。500mA以上の出力を持つパワーサプライであれば、他のペダルと併用してボードに組み込むことが可能です。

ID:X FLOOR:まとめ

出典:jp.blackstaramps.com

Blackstar ID:X FLOORは、マルチエフェクターを単なる計算機ではなく、演奏者の感性に寄り添う楽器として再定義した一台です。

最高のトーンを、最もシンプルな操作で手に入れる。現在は予約注文の状態ですが、1月24日の国内発売後はかなりの注目が集まり、争奪戦になることが予想されます。重い機材から解放されたい、しかし音質と弾き心地には一切妥協したくないという方は、今のうちにチェックしておくのが賢明かもしれません。

アンプメーカーがプライドをかけて放つこの赤い衝撃を、ぜひあなたの足元で体感してみてください。

コメント