高品質なテープエコーを選ぶならこれ!STRYMON EC-1 dTape Echo レビュー

エフェクター

「STRYMONから新しいテープエコーが出る」と聞いたとき、正直「またEl Capistanのバリエーションかな?」と思っていました。ところが実際に触ってみると、その小さな筐体から飛び出してくる音は想像以上。まるで古いテープマシンを直接鳴らしているかのような有機的な揺れがありつつ、現代的に洗練された操作性を兼ね備えていました。

私はこれまでEl CapistanやVolanteも使ってきましたが、このEC-1は“必要な要素だけをぎゅっと濃縮”したような存在で、ペダルボードに組み込んだ瞬間に「これ、ちょうど欲しかったやつだ」と思いました。

STRYMONってどんなメーカー?

出典:allaccess.co.jp

STRYMONはアメリカ生まれのペダルブランドで、空間系に関してはもはや定番中の定番。BigSkyのリバーブやTimelineのディレイは、プロからアマチュアまで愛用者が多いですよね。私自身もIridiumやEl Capistanを持っていますが、共通して言えるのは「音の厚みと立体感が段違い」ということ。
EC-1はそんなSTRYMONが“シンプルで実用的なテープエコー”に振り切って開発したモデル。価格は42,900円と安くはありませんが、触ってすぐに「高いけど納得だ」と思える内容でした。

STRYMON EC-1:製品の概要と特徴

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基本スペック

  • 単一ヘッドのテープエコー・シミュレーション
  • ステレオIN/OUT(TRS対応)、USB-C、MIDI搭載
  • 6ノブ構成
    Time / Mix / Repeats / Tape Age / Mechanics / Record Level
  • 3種類のプリアンプモデリング(オリジナルEP-2、Cesar Diazモッド、OFF)
  • 9V DC駆動、250mA

筐体はコンパクトで、見た目はシンプル。でも実際に触ってみると、細部の作り込みに「さすがSTRYMON」と唸らされます。アルミ削り出しの堅牢さや、スイッチの踏み心地も文句なしです。

STRYMON EC-1:コントロールと操作感

  • Time:50ms〜1秒までのディレイタイムを設定。タップテンポにも対応しているのでライブでも直感的に使えます。
  • Mix:原音とエコー音のバランスを調整。フルウェットにすればモジュレーション的な使い方も可能。
  • Repeats:繰り返し回数。自己発振寸前の設定もスムーズで、アンビエントな壁を作れます。
  • Tape Age:新品テープのようなクリアさから、古びたテープの丸みあるサウンドまで変化。
  • Mechanics:ワウ・フラッターやテープのヨレを再現。12時までは揺れが中心、それ以上でテープのシワやガサつきが入ってきます。
  • Record Level:Low/Mid/Highの3段階。入力ゲインとバイアスが変わり、音の飽和感が劇的に変化。

操作はとても直感的で、数分触っただけで狙った質感を出せるのが印象的でした。

STRYMON EC-1:サウンドの印象

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実際にギターを繋いで最初に感じたのは「音が立体的に前に出てくる」ということ。STRYMONらしいレンジの広さと奥行き感があり、音が自然に空間の中で広がっていくように感じられました。特に、単なるエフェクトとしての“ディレイ”を超えて、弾いているフレーズ全体の雰囲気を変えてしまうような力があります。

  • クリーンでのスラップバック
    Record LevelをLowに設定すると、非常に輪郭のはっきりしたシャープなスラップバックが得られます。ロカビリーやカントリー系のリズムにピッタリで、ピッキングのニュアンスが際立ち、気持ちよくリズムを刻めます。短めのディレイタイムにしてみると、まるでスタジオで生録したようなタイトさが再現される印象です。
  • アンビエント的な使い方
    Tape Ageを回して高域を削り、Mechanicsを上げていくと、ディレイが単なる“繰り返し”ではなく、揺らぎのあるシンセのパッドのような幻想的な質感に変化します。和音を軽く鳴らすだけでも、浮遊感のある広大な空間に包まれるような響きが得られ、思わず弾く手を止めて聴き入ってしまいました。特にステレオ接続では、左右に広がる揺らぎが圧倒的で、ひとつのエフェクトでサウンドスケープを作れると感じました。
  • ブースト的な使い方
    プリアンプをONにしてBoostを加えると、エコーを伴わなくても音そのものが前に出てくるのが分かります。シングルコイルでは輪郭が立ち、ハムバッカーではより太いサウンドが得られ、リードフレーズを弾いたときに「音の芯」がグッと前に押し出される感覚がクセになります。単なるディレイの枠を超えて、プリアンプ兼ブースター的な役割も担えるのはEC-1ならではです。

これらの組み合わせによって、クリーンな伴奏からアンビエントなサウンドメイク、さらにはリードの押し出し感まで、幅広く対応できるのがEC-1の大きな魅力。STRYMONのペダルに共通する「弾いていて気持ちいい感覚」がしっかりと備わっており、演奏中に自然とインスピレーションが湧いてくるペダルだと実感しました。

STRYMON EC-1:El CapistanやVolanteとの違い

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  • El Capistan:マルチヘッド対応+スプリングリバーブ付き。多機能で奥深いけど大きい。
  • Volante:テープマシン的な操作が可能でルーパー機能も搭載。ただしかなり大きく重い。
  • EC-1:単一ヘッドに絞り込み、操作もシンプル。サイズも小さく、ボードに収めやすい。

「多機能さよりも、シンプルに極上のテープエコーが欲しい」という人にはEC-1がベストだと思います。

STRYMON EC-1:良い点と惜しい点

良い点

  • STRYMONらしい立体的なテープエコーサウンド
  • コンパクト&シンプルな操作性
  • プリアンプをブースター代わりに使える
  • MIDI・ステレオ対応で現代的な仕様

惜しい点

  • スプリングリバーブが省かれている
  • マルチヘッドではないので複雑なリズムエコーは作れない
  • 価格は決して安くない(42,900円)

STRYMON EC-1:よくある質問 Q&A

Q1. STRYMON EC-1とはどんなペダルですか?
A. EC-1は、1960年代の名機「Echoplex」テープエコーを現代的に再現したストライモンの最新エフェクターです。小型ながら本格的なテープエコーの質感を味わうことができ、さらにステレオ対応やMIDIコントロールなどプロ仕様の機能も搭載しています。


Q2. El Capistanとの違いは?
A. El Capistanが「マルチヘッド・テープエコー」を再現しているのに対し、EC-1は「シングルヘッド」に絞り込み、よりシンプルで直感的な操作性を重視しています。また、筐体が一回り小さくなり、ボードへの組み込みやすさも向上しています。


Q3. 音作りで特徴的な点は?
A. 「Tape Age」「Mechanics」の2つのノブで、テープの劣化具合や機械的な揺らぎを自在に再現できます。新品同様のクリアなテープから、くたびれたヴィンテージマシンのような歪んだ質感まで幅広い表現が可能です。


Q4. プリアンプ機能はありますか?
A. はい。ビンテージEchoplex EP-2のオリジナルと、伝説のエフェクターテックCesar Diazによるモッド仕様の2種類を切り替えて使用できます。さらに「プリampブースト機能」もあり、最大+6dBのゲインを得られるため、単なるエコーだけでなくブースター的にも活用できます。


Q5. ステレオ対応ですか?
A. 完全ステレオ対応です。TRS端子を利用することで、モノラルイン・モノラルアウト、モノラルイン・ステレオアウト、ステレオイン・ステレオアウトの切替が可能です。宅録からライブまで柔軟に対応できます。


Q6. MIDIは使えますか?
A. フルMIDI対応で、300プリセットの保存・呼び出しが可能です。リアルタイムのパラメータコントロールやDAWとの連携もでき、USB-C接続によるファームウェアアップデートにも対応しています。


Q7. 電池駆動できますか?
A. いいえ。電池駆動には対応していません。DC 9V、センターマイナス仕様のアダプター(最低250mA)が必要です。


Q8. 価格はどのくらいですか?
A. 国内新品価格は約42,900円です。ストライモン製品としては比較的コンパクトなモデルですが、音質・機能はフラッグシップ同等のクオリティです。


Q9. どんな場面におすすめですか?
A. ヴィンテージ感のあるウォームなエコーを求める方や、シンプルな操作で高品質なテープエコーを使いたい方に最適です。また、プリampブーストを活かして音に太さを加えたいギタリストにもおすすめできます。

STRYMON EC-1:まとめ

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実際に触ってみて「El Capistanをコンパクトにして、現場で使いやすく仕上げたのがEC-1」という印象を持ちました。
決して安いペダルではありませんが、音の厚みと使いやすさを考えると十分に値段に見合います。特に私は「プリアンプだけでも常時ONにしたい」と思うくらい、音の質感が心地よかったです。

ボードを小さくまとめたい人、シンプルに極上のテープエコーを求める人には間違いなくおすすめできる1台です。

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