あの名機のプリ部だけを再現⁉ BOSS BP-1W 使用感をレビュー

エフェクター

BOSSの「WAZA CRAFT」シリーズから登場した BP-1W
発売時から「これはすごい」と話題になったのをよく覚えています。理由はシンプルで、あの CE-1 Chorus EnsembleRE-201 Space Echo に搭載されていたプリアンプ部を抽出したペダルだから。ジミ・ヘンドリックスやジョン・フルシアンテが愛用していたサウンドを、公式が小さなコンパクトペダルで再現したというのだから、注目されないわけがありません。

価格は18,300円。ブースター的な立ち位置にしては少々強気な設定ですが、そのサウンドの実力はどうなのでしょうか。実際に試してみました。

BOSS BP-1Wとは?

出典:BOSS

BOSS BP-1Wは、歴史的な名機の“プリアンプ部分”を抽出して現代に蘇らせたブースター/プリアンプ・ペダルです。回路はフル・アナログ仕様で、BOSSのフラッグシップである WAZA CRAFTシリーズ に属しています。

このペダルが注目を集めた理由は、単なるブースターではなく、ヴィンテージ機材特有の音の質感を再現する設計にあります。往年の名機に搭載されていたプリアンプは、当時の技術的制約から独特の周波数特性やサチュレーションを生み出し、多くのギタリストに愛されてきました。その“味わい”を公式が改めてペダル化したのがBP-1Wなのです。

操作はシンプルで、LEVEL(音量) と GAIN(サチュレーション量) の2ノブだけ。直感的に扱えつつ、クリーンなブーストから太く押し出すようなプリアンプ的サウンドまで幅広い表現が可能です。

さらに背面には BUFFERスイッチ を搭載。STANDARDモードでは現代的でクリアなトーンを、VINTAGEモードではややローファイで柔らかい質感を選べます。これにより、同じペダルでもシーンやギターに応じたキャラクターの切り替えが可能となっています。

総じてBP-1Wは、「シンプルな見た目ながら、ヴィンテージ感とモダンな実用性を兼ね備えたプリアンプ」。ボードに常時組み込む基本サウンドの補強役としても、ソロ時のブーストとしても頼れる存在です。

BOSS BP-1W:3つのモード

出典:BOSS

CEモード

まずはお目当てのCEモード。
シングルコイルのストラトで弾くと、まさにあのフルシアンテのような広がりを持ったブライトな音が飛び出してきます。歯切れの良さを残しながらも、きらびやかで解放感のあるサウンド。リードを弾くと音が前に出てくる感じで、ブースト用途としてもかなり強力です。

REモード

次にREモード。
こちらは一転して中低域がしっかり太く、温かみのあるトーンが特徴。軽くGAINを上げると自然なサチュレーションが加わり、ソロを弾いたときの押し出し感が増します。ブルースやロック系のリードプレイにはピッタリで、歪みペダルの前に置いてやると極上のトーンが得られました。

NATURALモード

最後にNATURAL。
これは名前の通り「素の音をそのまま押し出す」感じで、音色を変えずにクリーンにプッシュできます。ディレイやリバーブの前に置くと空間系がよりクリアに聞こえるので、サポート役としてかなり便利。意外と一番出番が多いのはこのモードかもしれません。

BOSS BP-1W:バッファ切替で音が変わる

出典:BOSS

BP-1Wの大きな特徴のひとつが、背面に搭載されたバッファ切替スイッチです。ここでは STANDARD と VINTAGE の2種類から選ぶことができ、実際に弾いてみると音のキャラクターがはっきり変わるのがわかります。

STANDARDモード
現代的でフラットな音質を提供します。レンジが広く、ギター本来のキャラクターをそのまま引き出す印象です。歪みペダルや空間系エフェクトの前段に置いたときにも癖が少なく、クリーンなバッファとして安心して使えます。シングルコイルのギターでも音が細くならず、ハムバッカーでも曇りが出にくいので、オールラウンドに使える設定と言えるでしょう。

VINTAGEモード
入力インピーダンスが下がることで高域がロールオフし、音が少しダークでローファイな雰囲気に変化します。これがまた絶妙で、まさに「古い機材の質感」を思わせるサウンドになります。特にCEモードとの組み合わせでは一気に実機のCE-1らしさが増し、いわゆる“ジョン・フルシアンテ的な音”に近づける感覚がありました。やや甘くてメロウなトーンが得られるため、ストラトでクランチを弾いたときなどは抜群に気持ちいいです。

さらに面白いのは、バッファ切替が演奏スタイルや使用するギターに合わせて選べる点です。
例えば、明るめのシングルコイルを使う場合はVINTAGEにして高域を少し抑えるとバランスが良くなりますし、逆にダークなキャラクターのハムバッカーならSTANDARDにして明瞭さを確保する、といった使い分けができます。

つまり、単なるモード切替ではなく、ギターやジャンルに合わせて音作りの幅を広げるための重要な要素として機能しているのです。

BOSS BP-1W:実際に弾いてみた使用感

出典:BOSS

まず最初に驚かされたのは、このBP-1Wがただのクリーンブースターに留まらず、ペダル単体で「オーバードライブ的な歪み」を生み出せることです。しかもその歪み方がとてもユニーク。一般的なODのようにサステインがグッと伸びるのではなく、ピッキングのアタックで「バリッ」と歪んで、そのまま音がパリっと立ち上がる感じ。これはプリアンプ特有の反応で、アンプの手前に置くだけで弾き心地がガラッと変わります。クセになるプレイフィールです。

●CEモード(CE-1プリampサウンド)
ストラトキャスターを繋いで弾くと「これだ!」と思わず唸ってしまうジョン・フルシアンテ的なサウンドが再現できます。中高域がキラッと持ち上がり、コードをかき鳴らすと解放感のある広がりが出る。シングルコイルで歯切れの良さを求めるプレイヤーにはたまらない質感です。

●REモード(Space Echoプリampサウンド)
レスポールなどハムバッカーを組み合わせると、低域がグッと太くなり、ソロで弾いたときに力強いリードトーンが飛び出してきます。ゲインを上げればサチュレーション感が加わり、適度なコンプレッションも感じられるので、まるでアンプを一段階押し出したような迫力が得られます。

●NATURALモード
クセのないフラットなブースト。常時オンにしてもサウンドを濁さず、むしろギターの持ち味をそのまま前に押し出してくれる印象です。ソロで少し音量を上げたいときや、歪みペダルのキャラクターを活かしたいときにも非常に使いやすい。背面のバッファ切り替え(STANDARD / VINTAGE)もよく効いていて、リグ全体の基礎トーンを整える役割も果たしてくれます。

総じてプリアンプとしてのキャラクターを活かしつつも、実戦的な使いやすさがしっかりある点が好印象でした。ジョン・フルシアンテのファンはもちろんですが、単純に高品位なプリアンプ/ブースターを探している人にも強くおすすめできる仕上がりです。

BOSS BP-1W:他のペダルとの組み合わせ

ブルースドライバーなど歪みペダルの前に置いて軽くプッシュすると、音が太くなりつつもサスティンが伸び、ソロ用ブースターとして最適でした。

また、コーラス(CH-1など)と組み合わせると、まるでCE-1のような「コーラス+プリアンプ」の質感を得られるのも面白いポイントです。

BOSS BP-1W:よくある質問 Q&A

Q1. このペダルは常時オンで使うべきですか?
A. どちらの使い方もアリです。常時オンにしてアンプの基礎音を補強する「プリアンプ的使い方」と、ソロや特定のフレーズだけ音を前に出す「ブースター的使い方」の両方で活躍します。特にREモードやCEモードはキャラクターが強いため、常時オンにすると「この人の音!」という個性がつく印象があります。

Q2. EP Boosterや他のクリーンブースターとどう違いますか?
A. EP Boosterのようなペダルが「ひとつの名機を再現」しているのに対して、BP-1Wは複数の歴史的プリアンプを切り替えられるのが大きな違いです。さらにBUFFER切替を含めれば6種類の音のキャラクターを使い分けられるので、より「マルチに遊べるプリアンプペダル」という印象です。

Q3. バッファーのSTANDARDとVINTAGE、どう使い分ければいいですか?
A. シングルコイルのギターで高域を活かしたいならSTANDARD、ハムバッカーなどで耳に刺さりやすい部分を抑えたいならVINTAGEが向いています。演奏する曲やリグ全体のキャラクターに応じて切り替えるのが実用的です。

Q4. どんなジャンルの音楽に合いますか?
A. クリーントーンを際立たせたいファンクやポップス、太さを足したいブルースやロック、さらにはハイゲイン環境でのソロブーストまで幅広く使えます。特にREモードは分厚さが出るのでハードロックに向き、CEモードは煌びやかさを求めるポップやオルタナに合う印象です。

Q5. ボードのどこに置くのが良いですか?
A. 一般的には歪みペダルの前に置いてプッシュするのが王道ですが、後段に置いて「音量だけ持ち上げる」使い方も可能です。さらに、リバーブやディレイの直前に置くと空間系の存在感まで変わるので、実験的に配置を試してみる価値があります。

BOSS BP-1W:まとめ

出典:BOSS

BOSS BP-1Wは、ただのブースターではありません。
CE-1とRE-201という歴史的名機のプリアンプを現代に甦らせ、さらに実用的なNATURALモードとバッファ切替まで搭載した欲張りなペダル。

・CEモードで広がりのあるブライトなトーン
・REモードで温かく力強いトーン
・NATURALモードで音をそのまま押し出すクリーンブースト

これらをシンプルな操作で扱えるのは大きな魅力です。
「音を一歩前に出したい」「ビンテージ感のあるプリアンプトーンを試したい」という方には、間違いなくおすすめできる一台です。

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