
BOSSから登場したヘッドホンアンプ「KATANA:GO」。KATANAシリーズといえば家庭用アンプとして人気が高く、ギター/ベース問わず使いやすいラインナップで知られています。そんなシリーズから、ついに“手のひらサイズ”のモデルが登場しました。スマホとの連携や立体音響機能など、BOSSらしい最新技術が詰め込まれています。
KATANA:GO:デザインとサイズ感

出典:BOSS
KATANA:GOの第一印象は「思ったより小さい!」ということ。手のひらにすっぽり収まるサイズで、ポケットに入れても邪魔になりません。筐体はしっかりとしたプラスチック製で、BOSSらしい堅牢な作り。有機ELディスプレイも見やすく、夜間練習でも視認性が高いです。角度を自由に調整できるプラグ構造で、ギターの形状を選ばず装着可能。重さもわずかで、長時間つけっぱなしでも負担を感じません。
KATANA:GO:機能と操作性

出典:BOSS
KATANA:GOはギター/ベース両対応の多機能ヘッドホンアンプです。ここでは、実際に触って感じた操作性や機能面をわかりやすく整理して紹介します。
アンプタイプとエフェクト
ギターモードでは10種類のアンプ、ベースモードでは3種類のアンプを搭載し、クリーンからハイゲインまで幅広い音作りが可能。さらに60種類以上のBOSSエフェクトを内蔵しており、マルチエフェクター並みの表現力を誇ります。ディレイやリバーブ、モジュレーション系などを自由に組み合わせることで、スタジオクオリティの音を自宅でも再現できます。
プリセットと操作系

出典:BOSS
プリセットはA/B/Cチャンネル×10バンクの計30種類を搭載。中央のマルチファンクションボタンでチャンネル切り替えやチューナー起動をワンタッチで行えるため、練習中でもテンポよく操作できます。有機ELディスプレイは明るく見やすく、暗い部屋でもモードや設定が一目でわかるのが便利です。
アプリ連携とBluetooth
Bluetooth接続でスマホアプリ「BOSS TONE STUDIO」と連携すれば、エフェクトチェーンの順番変更やEQの詳細設定など、さらに踏み込んだ音作りが可能。アプリ上ではSESSION機能を使ってYouTube動画を再生しながら練習したり、テンポ変更やリピート再生も行えます。エフェクト編集は最初こそ慣れが必要ですが、慣れると非常に直感的で自由度が高く、音作りが楽しくなります。

出典:BOSS
STAGE FEEL機能
BOSS独自の立体音響技術「STAGE FEEL」を搭載。ヘッドホンでもアンプが前方や背後から鳴っているような臨場感を再現します。モード1は“前方アンプ”、モード2は“背面ステージ”、CUSTOMでは好みに合わせた定位を設定可能。自宅でもスタジオ演奏のような没入感を味わえます。
実際に使ってみると、このSTAGE FEEL機能はまさに“KATANA:GO体験のキモ”とも言える存在でした。普通のヘッドホン練習だとどうしても音が耳の中にこもりがちですが、この機能をONにすると一気に空間が広がり、まるで目の前にキャビネットがあるようなリアルさを感じます。特に夜の練習や録音時に、音の立体感と臨場感が加わることで、弾くモチベーションが大きく変わります。個人的にも、この機能を体験するだけでもKATANA:GOを試す価値ありです。
バッテリー持ち
KATANA:GOは内蔵リチウムイオンバッテリーを搭載しており、公式情報では約5時間の連続使用が可能とされています。充電はUSB Type-C端子から行い、満充電までおよそ3時間ほど。少し前のヘッドホンアンプまで、タイプBでの給電が多かったので、タイプCで給電できるだけで少しうれしくなります。一般的な練習セッションや外出先での使用には十分なバッテリー容量で、長時間の使用でも安定した動作が続きます。実際のレビューでも「充電を忘れても意外と持つ」「途中で電池切れになることがない」と評価されており、携帯性と実用性のバランスが取れた仕様です。
リズムマシンは非搭載?
KATANA:GOにはリズムマシン機能は搭載されていません。テンポ練習やメトロノーム的な用途には、スマートフォンアプリや外部機材を併用する必要があります。ただし、BOSS TONE STUDIOのSESSION機能を使えば、YouTubeのリズムトラックやバックトラックに合わせて演奏することができるため、実質的にリズム練習は十分可能です。あくまで「本体単体でドラムパターンを鳴らす機能」はない点に注意です。
というのも、昔使っていたVOXのamPlugシリーズにはリズムマシンが付いていて、手軽なこともあり個人的にかなり愛用していました。それを思うと、少し物足りなさも感じますが、Bluetoothで音源をつなげば同様のことは実現できるので、時代の変化を感じます。

出典:BOSS
KATANA:GO:サウンドレビュー

出典:BOSS
実際に使ってみてまず驚いたのは、ヘッドホンから出てくる音が“想像以上にリアル”だったこと。KATANAアンプらしい厚みのあるトーンがそのまま手の中に凝縮されています。クリーン系は非常に伸びやかで、コードを弾いても1音1音がきらびやかに立ち上がり、アルペジオでは粒立ちの良さを強く感じました。歪み系もさすがBOSSといった仕上がりで、軽く歪ませても芯がしっかり残り、ピッキングの強弱にしっかり反応してくれます。特に“BROWN”モードでは、思わずニヤッとしてしまうような分厚いハイゲインサウンド。弾いていて非常に気持ちよく、指先のニュアンスまで再現してくれる感覚があります。
CRUNCHモードでは80年代ロックを思わせるようなミッドの押し出し感があり、リードを取るときの存在感も十分。CLEANモードでは、ジャズやポップスにも合う抜けの良い音で、エフェクトのリバーブと組み合わせると空間の広がりがとても自然です。ベースモードも試しましたが、MODERNではレンジが広く抜けのあるトーン、FLATは原音重視でナチュラル、VINTAGEではほんのりとしたコンプレッション感があって、ピック弾きでも指弾きでも心地よい鳴り方でした。
全体的に低音から高音までバランスがよく、ヘッドホンで弾いていても“箱鳴り”に近い自然な広がりを感じます。練習用というより、もはや小型のモニターアンプとして通用するレベル。自宅で夜中に弾いていても、しっかりと“アンプを鳴らしている”感覚が味わえるのは本当にすごいです。
KATANA:GO:良かった点、気になる点

出典:BOSS
良かった点
KATANA:GOを実際に使ってみてまず感じたのは、音のクオリティの高さ。ヘッドホンアンプというよりは“持ち運べるスタジオ”という表現がぴったりです。音が非常にクリアで、アンプシミュレーションの反応も自然。STAGE FEEL機能による立体感は他製品と比べても圧倒的で、まるで目の前でアンプが鳴っているような臨場感があります。さらに、プリセット切り替えやチューナー起動などの操作がスムーズで、練習の流れを止めない点も好印象。気づけば何時間も弾いてしまうほど没頭できる魅力があります。
気になった点
一方で、アプリ連携部分には少しクセがあります。Bluetooth接続は問題ないものの、細かいエディットをする際はアプリの反応がややもたつく印象。最初は操作方法を覚えるまでに少し時間がかかるかもしれません。また、筐体が軽量なぶん、ギターに挿したまま強く当てると壊れそうな不安感もあります。加えて、録音機能ではDIチャンネルが分かれていないため、後から音を再編集する用途には向きません。それでも総合的には、価格以上の満足感が得られる完成度の高いモデルです。
KATANA:GO:他製品との比較
製品名 | 特徴 | 価格帯 | 備考 |
---|---|---|---|
BOSS KATANA**:GO** | 多機能・立体音響・USB録音対応 | 約2万円 | 練習から録音まで対応 |
Fender Mustang Micro | シンプルで軽量 | 約1.8万円 | チューナー非搭載 |
NUX Mighty Plug Pro | IR対応・安価 | 約1.2万円 | UIがやや複雑 |
BOSS WAZA-AIR | ワイヤレス・3Dサウンド | 約5万円 | 完全没入型ヘッドホン |
補足・私見からの評価ポイント
- STAGE FEEL vs 他社演出
KATANA:GO の立体音響演出(STAGE FEEL)は、他社製品(Mustang Micro など)と比較した際、単なるパンニングやステレオ効果を超えた“空間の臨場感”が感じられる点で差別化要素になっているように思います。レビューでもこの没入感を強調する声が多いです。 - 価格と機能のバランス
Mustang Micro 系列はその軽量性・シンプルさで人気ですが、機能拡張や深い音作りにおいては KATANA:GO のほうが優位。逆に、初心者・ライト用途なら Mustang 系でも十分な性能を提供します。 - 拡張性・将来性
NUX 系は IR 読み込みや細かい音作り機能など、拡張性に強みを持つという声もあります。ただし、そうした機能を活用できるかどうかはユーザーの操作スキルや使用シーンに依存します。KATANA:GO は“最初から十分使える状態”で出てくる点が強み。
また、ヘッドホンアンプとして最上位モデルに位置するのが BOSS WAZA-AIR です。こちらは完全ワイヤレス構造で、使い勝手としては圧倒的。ギターを構えてすぐにプレイできる解放感は唯一無二です。ただ筆者は実際に所有していたことがあり、ヘッドホンの形状が耳に合わず長時間の使用で痛くなってしまい、手放した経験があります。そのため、自分の好きなヘッドホンを選べるKATANA:GOの構成は、長期間使う上でより現実的で快適 と感じました。
KATANA:GO:買いなのか?
2万円前後という価格で、アンプ10種・エフェクト60種・立体音響・録音機能まで搭載。このスペックでこの価格はかなりのコスパ。Mustang Microなどのシンプルモデルからのステップアップにも最適です。自宅練習の質を上げたい人には間違いなく“買い”。唯一、スマホアプリ操作が苦手な人はやや慣れが必要かもしれません。
KATANA:GO:まとめ

出典:BOSS
BOSS KATANA:GOは、KATANAアンプのプレミアムなサウンドをポケットサイズに凝縮したヘッドホンアンプです。立体音響STAGE FEELによる没入感、豊富なエフェクト、スマホ連携による拡張性が特徴で、単なる練習用機器の域を超えています。自宅練習はもちろん、出先でのアイデアスケッチ、録音や配信にも活躍する万能ツールです。
特にSTAGE FEEL機能による立体音場は、従来のヘッドホンアンプでは味わえなかったリアリティをもたらし、演奏のモチベーションを大きく引き上げてくれます。USB Type-Cでの充電やPC接続にも対応しており、時代に合わせた利便性も十分。スマホアプリとの連携で、世界中のプレイヤーと音色を共有できるのも魅力です。
個人的には、ヘッドホン練習をより楽しく、そして“ちゃんとした音で弾きたい”という人には強くおすすめできる一台。価格以上の満足感を得られる、“次世代のKATANA”と呼ぶにふさわしい完成度です。

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