このエフェクターの特徴について
マクソンの「SD9 Sonic Distortion」は、1980年代から現在までロングセラーを続ける定番のディストーションペダルです。外観はグリーンカラーで、アイバニーズ版も存在します。特に特徴的なのは、レンジの広いサウンドと太い音圧感。低音域から高音域までしっかりとした抜けの良さがありつつ、過剰なこもりや耳障りな高音が出にくいというバランスの取れた音質です。
トーンノブのセッティングに特徴があり、多くのギタリストが「9時から10時」程度に絞って使用しています。この設定により、シャリシャリしすぎる高音や不足しがちな低音をうまく調整可能です。また、アンプの設定によって音色が大きく変化するため、アンプがクリーンな場合は柔らかなディストーションを、アンプを歪ませた場合はブースター的な使い方が可能です。
他のディストーションと異なる点は、非常にアンプライクなサウンドを生むことです。特にフェンダー系のクリーンアンプと組み合わせると、その特性が際立ちます。また、シングルコイルピックアップとの相性が抜群で、ジャズ・フュージョンやブルースなど幅広いジャンルに対応します。
MAXON SD9 Sonic Distortionの使用レビュー
今回使ったマクソンのSD9 Sonic Distortionはまさに「シンプルだけど奥深い」という印象です。このペダル、レビューでよく言われているように、「クセがある」というのは確かですが、その分、音作りに自由度があるのも事実。特にアンプやギターとの組み合わせ次第で、まったく異なるキャラクターを引き出せる点がとても魅力的です。
まず感じたのは、SD9のレンジの広さです。低音が太くしっかりと出ているのに、決してこもったり泥っぽくならない。その一方で、高音域も耳に刺さるようなシャリシャリ感がなく、非常にバランスが取れています。アンプをクリーンにして使うと、独特のクランチ感が前面に出てくるのですが、トーンノブを調整すればシャープなサウンドも楽しめます。個人的には、トーンを9時から10時くらいに絞る設定が一番しっくりきました。これにより、音が柔らかくまとまり、フュージョンやジャズに適したトーンが作れます。
このペダルの魅力を最大限に引き出すには、アンプの設定が重要だと感じました。レビューでも紹介されていたように、フェンダー系クリーンアンプと組み合わせると、SD9の持つアンプライクな音質が際立ちます。特に驚いたのは、歪みを最小限に抑えたブースト用途での使いやすさです。アンプがすでに軽く歪んでいる状態でSD9を足すと、単なる音量アップ以上の「押し出し感」が得られ、リードプレイが非常に心地よくなります。
もうひとつ印象的だったのは、SD9がシングルコイルピックアップと相性抜群だということ。ストラトキャスターで試したところ、音がよりクリアで、各弦の粒立ちが際立ちました。特にブリッジピックアップでの使用時には、通常のオーバードライブペダルにありがちな「ミッドが出すぎて音がこもる」現象がなく、ヌケの良いサウンドが楽しめました。
一方で、注意すべき点もありました。トーンノブの設定次第では高音がシャリシャリしすぎて扱いづらい場合があります。また、アンプがミドルの強いマーシャル系だと、音が少し「ぶつかる」感じがしたので、アンプのイコライザーで中音域を調整する必要があるかもしれません。
総じて、SD9は「定番」である理由がしっかり感じられるペダルでした。クセはあるものの、セッティング次第でそのクセを長所に変えられる面白さがあります。特に、オーバードライブでは得られないレンジの広いディストーションが欲しい人や、フェンダー系アンプを愛用しているギタリストにおすすめです。私自身、今後のライブやレコーディングで、このペダルをメインに据えた音作りを試してみたくなりました。
このエフェクターを使っているアーティスト
SD9 Sonic Distortionは、プロフェッショナルギタリストの間で長年愛用されてきました。その中でも特に名高いのは以下のアーティストたちです。
- マイケル・ランドウ
ジャズ・フュージョン界のレジェンドで、SD9を使用することで独特のクランチサウンドを追求。アンプライクな音色と合わせることで、クリーンからクランチまで幅広い音作りを実現しています。 - スコット・ヘンダーソン
同じくジャズ・フュージョンの代表的なギタリストで、SD9を愛用してきたことで知られています。彼は特にトーンノブを絞ったセッティングで使用し、ミッドレンジを程よく抑えたサウンドを活用。
こんな人におすすめ!
SD9 Sonic Distortionは、その柔軟性と個性を活かして、以下のようなギタリストに特におすすめです。
- アンプライクなサウンドを求める人
アンプが持つナチュラルな歪みやレンジ感を再現する能力が高いSD9は、オーバードライブペダルでは物足りない、しかし過剰な歪みは欲しくないというギタリストに最適です。 - クリーンアンプを使用するギタリスト
フェンダー系クリーンアンプとの相性が抜群で、SD9を通じて理想的なクランチトーンやブーストを得ることができます。 - シングルコイルピックアップ愛用者
SD9は、シングルコイルの持つナチュラルな高音域を活かしつつ、ミッドレンジを程よく抑える特性があります。そのため、ストラトキャスターやテレキャスターとの組み合わせで真価を発揮します。 - 独自の音作りを楽しみたい人
トーンノブやアンプの設定でサウンドキャラクターが大きく変わるため、自分好みの音を追求するのに最適。ファズ的な荒々しい音から、リード向けのスムースな音まで幅広く対応できます。
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