
小型マルチエフェクターの選択肢が年々増えてきた中で、「Sonicake Pocket Master」はその中でもひときわ異彩を放つ存在だ。手のひらサイズの筐体に、驚くほど本格的なギターサウンドと多彩な機能が詰め込まれている。
これを初めて見たときは「GoProかな?」と思ってしまったほどで、サイズ感はまさにそれ。コンパクトながら、ギターに必要な機能をしっかり備えているのが大きな魅力だ。今回は使用体験をもとに、このPocket Masterの魅力を紹介していきたい。
Sonicakeとは?
Sonicake(ソニックエイク)は中国・深センに拠点を構える音響機器メーカーで、手頃な価格帯ながらも高品質なサウンドを実現する製品群で知られている。
2010年代後半に設立され、比較的新しいブランドでありながら、世界中のギタリストから一定の支持を得ている。主にギター・ベース向けのエフェクターやアンプシミュレーター、DIボックスなどを製造しており、特に初心者から中級者向けのラインナップが充実しているのが特徴だ。
また、製品の設計にはプロミュージシャンの意見も反映されており、実用性の高さも評価されている。グローバル展開にも力を入れており、Amazonなどのオンラインプラットフォームを中心に世界中へ製品を供給している。今回紹介するPocket Masterのように、モバイル性やコストパフォーマンスに優れた製品が多く、多忙な現代のギタリストに寄り添う設計がなされている。
初めてこのブランド名を聞く人も多いかもしれないが、手軽さと実用性を両立した製品作りに定評があり、これからさらに注目される存在と言えるだろう。
Sonicake Pocket Master:仕様と機能


出典:sonicake
今回のPocket Masterの最大の魅力は、何といってもその機能性にある。
・20種類のアンプモデルと15種類のキャビネットIRを標準搭載(加えて、ユーザーIRも最大5スロットまで読み込み可能)
・9つのエフェクトブロックを自由に入れ替え可能で、好みに合わせた柔軟な音作りができる
・ドラムマシン、チューナー、ルーパーなど練習に便利な機能も内蔵
・USB-C接続によりPCやスマートフォンと連携でき、オーディオインターフェースとしても活用可能
・鮮やかな1.77インチのフルカラー液晶画面で視認性も良好
・専用アプリ「SonicLink」によるBluetooth経由の操作で、より直感的な音作りが可能
・1,000mAhの内蔵バッテリーで長時間使用でき、外出先でも手軽に演奏可能
手に取った瞬間、その軽さと小ささに驚かされるが、電源を入れて音を出すとその完成度の高さに納得する。わずかなスペースにこれだけの機能を詰め込んだ設計は、まさに驚異的といっていい。
Sonicake Pocket Master:実際の使用感

出典:sonicake
Pocket Masterは、自宅での練習はもちろん、カフェや旅先、リハーサルスタジオなど、あらゆる外出先でも活躍することを想定した設計になっている。ギターとヘッドホンを接続すれば、電源を入れるだけですぐに演奏を開始できるうえ、付属のクリップを活用すればギターストラップやズボンのベルト部分に取り付けることもできるため、立って演奏するシーンでも邪魔にならない。
本体にはあらかじめ50種類のプリセット音色が収録されており、そのままでも即戦力になるような完成度の高いトーンが多い。特に起動時に設定されている「Preset 1」は、ギターを繋いだ瞬間から説得力あるサウンドが出力されるため、初心者にとってもわかりやすく、すぐに音を出して楽しめる構成になっている。また、メタルやブルース、クリーン系まで幅広いジャンルに対応している点も心強い。
さらに、専用アプリ「SonicLink」を使えば、内蔵されている各エフェクトの種類や順番、細かいパラメータ設定までスマートフォンから視覚的に編集可能。たとえば、ノイズゲートはデフォルトではやや強めに設定されており、サステインを途中で切ってしまうことがあるが、アプリや本体操作でスレッショルドを細かく調整すれば、より自然な減衰感にすることもできる。
こうした柔軟性の高さから、初心者だけでなく音作りにこだわりたい中級者や、外出先でも安定したトーンを確保したい上級者にとっても、非常に実用的なツールとなるだろう。
使ってみたわかった良かった点・気になる所
Pocket Masterを実際に使ってみると、その価格からは想像できないほどの完成度に驚かされる。まず最も魅力的なのは、1万円前後という価格ながらも、多機能かつ高品質なサウンドが得られる点だ。収録されているアンプやキャビネットシミュレーションはリアルで、幅広いジャンルの音作りが可能。さらに、専用アプリ「SonicLink」を活用することで、エフェクトの配置やパラメーター調整が直感的に行えるため、音作りの自由度も高い。
また、本体は非常に軽量でコンパクトなため、持ち運びにも便利。ヘッドホンでの練習はもちろん、屋外での演奏や移動中の音作りにも最適だ。バッテリー内蔵で電源の心配も少なく、個人練習やアイデアスケッチのような用途にも非常に役立つ。
一方で、気になる点としては、本体液晶の視認性に課題がある。特に、エフェクトのON/OFF状態がグレー表示になっているため、瞬時に判断しづらい。また、足元での操作ができないことから、ライブ演奏には不向きといえる。さらに、ファームウェアのアップデートがMacに限定されている点や、オーディオインターフェース機能が16bit/44.1kHzにとどまることも注意が必要だ。そして、MIDI機能には非対応のため、外部機器との連携を求めるユーザーにとってはやや物足りなさを感じるかもしれない。
とはいえ、これだけの機能がこの価格帯に収まっていることを考えれば、気になる点を補って余りある魅力があることは間違いない。練習、宅録、持ち運び用と、用途に応じて活躍してくれる非常に頼もしいギアだ。
Sonicake Pocket Master:Q&A

Q. ヘッドホンでの練習は快適?
A. 非常に快適。ステレオの広がりがあり、空間系エフェクトの効果も感じられるため、没入感のある練習が可能。
Q. Bluetooth機能はどのように使いますか?
A. 本体の設定でBluetoothをONにすると、スマートフォンなどのデバイスから音源をワイヤレスで再生でき、ヘッドホンからギターと一緒にミックスして聴くことが可能です。練習用の伴奏トラックを再生したいときに便利です。
Q. アンプシミュレーターの音質は?
A. この価格帯としては非常に優秀。ジャンルに応じたトーンを作るだけでなく、レコーディングにも使えるレベルのクオリティを備えている。
Q. アプリは必須?
A. 本体だけでも操作は可能だが、視認性や設定のしやすさはアプリに軍配が上がる。特にプリセットの編集はアプリ使用が前提と考えた方が良い。
Q. 宅録には適している?
A. 録音には十分使える。ただし、16bitなのでプロユースには不向き。アイデアスケッチやデモ録音には最適。
Q. ライブでの使用は?
A. 足元での操作ができないため、ライブ用途には向かない。スタジオ練習や動画収録などには十分な性能。
Q. MIDIは使える?
A. 非対応。現時点ではMIDI機器との連携は不可で、将来的な対応予定も未定。
Sonicake Pocket Master:まとめ
小さくても多機能、最強の練習&宅録パートナーSonicake Pocket Masterは、その名の通り「ポケットに収まる万能エフェクター」として、多くのギタリストにとって心強い味方になるだろう。軽量でありながら、練習、録音、音作りと幅広いシーンに対応でき、まさに1台で何役もこなす頼れる存在だ。
これからギターを始める人には、最初の1台としておすすめでき、すでに機材を揃えている中・上級者にも、セカンドユニットや外出用エフェクターとしての価値がある。価格・性能・携帯性の三拍子が揃った、注目すべき製品である。


コメント